高齢母(84歳)と二人暮らしの今、もし母に何かあったら私が面倒みるのは確実、でも私は介護のために自分を犠牲にしたくない、、、そんな思いで読んだ本が、
働きながら、親をみる 自分の人生をあきらめない介護 / 和田秀樹 著
以下、他のサイトも参考に、また、自分の経験(父の介護をする母の補助、ホームヘルパー2級取得)も交えながらまとめてみました。
介護は、プロに任せたほうが、よほど質の高い介護が受けられるという視点に立つことが大事!
=目次=
介護保険でサービスを受ける流れ
まず、介護保険とは、40才から一生払い続けるもので、65才からは年金から天引きされます。
会社員なら健康保険料と一緒に天引き。原則として自己負担は1割です。
・介護が必要になるキッカケは?
厚生労働省の「平成28年国民生活基礎調査」によると、介護が必要になった主な原因として、
1位 認知症(18.0%)
2位 脳卒中(16.6%)
3位 高齢による衰弱(13.3%)
4位 骨折・転倒(12.1%)
5位 関節疾患(10.2%)
・地域包括支援センターに行ってみる
直接介護施設に申し込むことはできません。
親の様子がおかしいと思ったら、まず地域包括支援センター(各市町村ごとにある)に行くといいです。
介護に関する様々な相談にのってくれます。
高齢者の支援に特化した施設であり、情報も豊富で、各種手続きの仕方など、家族の疑問にも答えてくれます。
また、市区町村の役場にある介護保険の担当課でも相談にのってくれます。
・要介護認定の申請をする
デイサービスなど、介護のサービスを受けるには、介護保険を申請します。
=要介護認定の申請に必要なもの=
●介護保険被保険者証
●申請書(役所の窓口か地域包括支援センターでもらうか、役所のホームページからダウンロードする。)
*申請書に主治医の名前、病気名を記入する。
●主治医意見書 (*主治医意見書は市区町村が主治医に依頼をします。自己負担はありません。)
主治医意見書とは、主治医が申請者の疾病や負傷の状況などについての意見を記し、要介護認定を行う際のコンピュータによる一次判定や介護認定審査会での審査判定の資料として用いられます。
主治医意見書を作成してもらえる医師の心当たりがない場合には、市町村の指定する医師の診断を受ける必要があります。
・認定調査が実施される
申請したら、市区町村等の調査員が自宅を訪問。本人の心身の状態を確認するための認定調査を実施します。
(この時、おそらく高齢者本人は、いつもより頑張って自分はまだまだできると張り切ります。なので、日頃から、おかしいなと思ったことはメモしておき、調査が始まる前に普段の様子を伝えておくとよいです。病気の記録、通院の記録やその時の様子などメモしておくとなおよし。)
認定調査 項目 抜粋↓ (全部では74項目あります。)
①身体機能・起居動作 | ・麻痺があるか ・寝返りができるか ・起き上がることができるか ・片足立ちができるか ・視力や聴力に問題があるか など |
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②生活機能 | ・食事を摂ることができるか ・排尿や排便ができるか ・歯磨きができるか ・外出頻度はどれくらいか など |
③認知機能 | ・生年月日や年齢を言うことができるか ・名前を言うことができるか ・今の季節を理解しているか ・自分がいる場所を理解しているか ・外出して戻れないことがあるか など |
④精神・行動障害 | ・物盗られ妄想がないか ・作り話をするか ・昼夜逆転になっていないか ・大声を出すことがあるか ・ひどい物忘れがあるか など |
⑤社会生活への適応 | ・薬の内服ができるか ・金銭管理ができるか ・集団への不適応があるか ・買い物ができるか など |
https://goodlifesenior.com/wp/news/26244
・申請結果が出たら
「認定通知書」「被保険者証」が郵送で届きます。
要介護度と有効期間を確認し、
「自立、要支援1,2」なら、地域包括支援センターへ連絡、
「要介護1~5」なら、居宅介護支援事業所(ケアマネージャーがいるところ)へ連絡となりますが、
どちらもまず、市区町村にて紹介してもらうとよいです。
・ケアプラン作成
認定を受けてから、ケアマネージャーと相談しながらケアプランを立てます。
・介護サービス事業者と契約
ケアマネージャーにサービス開始の依頼をします。
介護サービス利用料の自己負担は1割です。
※特別養護老人ホーム等の施設介護サービスでは、居住費、食費など自己負担となります。
介護サービス開始後も、困ったことなどはケアマネージャーに相談します。
認知症はもの忘れでの発症が多い
認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。
認知症にはいくつかの種類があります。
アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症です。
症状はもの忘れで発症することが多く、ゆっくりと進行します。
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html
・「もの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違い
物忘れは、
- 朝ごはんのメニューを忘れる(一部を忘れる)
- 物忘れの自覚がある
- 探し物に対して、自分で努力して見つけようとする
- 日常生活への支障はない
- 症状の進行は極めて徐々にしか進行しない
認知症による物忘れは、
- 朝ごはんを食べたこと自体を忘れる(全部を忘れる)
- 物忘れの自覚がないことが多い
- 探し物に対して、誰かが取ったなどと他人のせいにすることがある
- 日常生活への支障がある
- 症状は進行する
「要支援1・2」「要介護1~5」の状態
要支援1:日常生活はほぼできる。要介護状態予防のため少し支援が必要。
要支援2:日常生活に支援必要だが、要介護に至らず機能が改善の見込みあり。
要介護1:立ち上がり、歩行が不安定。排泄、入浴など、部分的に介助必要。
要介護2:自力では立ち上がり、歩行が困難。排泄、入浴に、一部または全介助必要。
要介護3:自力で立ち上がり、歩行ができない。排泄、入浴、衣服の着脱に全面的介助が必要。
要介護4:排泄、入浴、衣服の着脱など日常において全面的に介助必要。日常生活能力の低下がみられる。
要介護5:日常生活全般において、全面的介助必要。意思の伝達も困難。
介護施設の種類
・介護保険施設
①特別養護老人ホーム(特養、介護老人福祉施設)
費用負担少。長期入所可。公的介護施設。終の棲家的存在。
寝たきりなど、重度の要介護者が対象。
食事、排泄の介助などの身体介護*、生活援助*、レクリエーションなども提供。
入所待機者多い。
一度入居したらそこで余生を過ごす人が多い。
*身体介護:利用者の身体に触れて行う介護(食事、排泄、入浴の介助、身体を拭くなど)
*生活援助:掃除、洗濯、衣類の整理、買い物など(身体に触れない)
②介護老人保健施設(老健)
介護と医療を提供。病院と家庭の中間的存在。公的介護施設。
症状安定の要介護高齢者を受け入れる。在宅復帰が目的でリハビリ等行う。
入院から退院し、いきなり在宅介護が不安な方のための施設。
食事、排泄の介助などの介護サービスは提供される。
3か月ごとに入所継続判定があり、回復とみなされたら退所
③介護療養型医療施設(療養病床)
老健より要介護度が高く長期の医療を必要とする人を受け入れる。
老健より長期の介護、医療的ケア必要な方が対象。
「療養病床」…急性疾患からの回復期にある要介護者に対し、在宅復帰目的のリハビリを続ける施設。寝たきりなど要介護度が高い人が多く利用している。
「老人性認知症疾患療養病棟」…認知症の症状を持つ方の精神的、身体的な療養が目的。
どちらも食事、排泄の介助など介護サービスは提供されるが、状態が改善してきたら、退院を求められる場合あり。
・地域密着型施設
①グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
65歳以上で「要支援2」以上の要介護認定を受けている者。小規模施設で共同生活。
1ユニット(5~9人)で役割分担し、共同生活を送り、症状の改善をはかる。
介護スタッフのサポートあり。
1つのグループホームに1~2ユニットが居住。
認知症の症状が進み、一人で着替え、排泄、食事ができない、また、慢性疾患のため日常的に医療ケアが必要となった場合は退去。
・民間の介護施設
介護保険のサービスが利用できる施設も存在。
①有料老人ホーム
【介護付(ケア付)有料老人ホーム】
介護が必要になった場合でも、生活しながら介護サービスが受けられる施設。
認知症が進行、病院への入院長期化、高度な医療必要など、契約内容により退去もあり。
月額利用料目安12~30万円、おむつ代等雑費5~6万円の追加料金発生もあり。
【住宅型有料老人ホーム】
軽度の要介護者、自立、要支援の高齢者を受け入れる施設。訪問介護、通所介護などのサービスを利用して施設で生活できる。要介護度が高くなると退去を求められることもある。
【健康型有料老人ホーム】
介護必要ナシか、要支援の高齢者が対象。
レクリエーション設備あり。
ほとんどの家事をスタッフに依頼できる。
要介護になる、医療必要になる、で契約解除し退去。
②サービス付き高齢者向け住宅
プライバシーが守られている高齢者向けの寮のイメージ。
自立、軽度の要介護状態の高齢者を受け入れる。
介護サービスや医療的ケアはないが、日中はスタッフ常駐、安否確認や生活相談ができる。
月々の家賃がネック。
ショートステイとは?
介護や支援付きの「宿泊施設」のイメージ。
施設介護の前段階として「ショートステイ」を使うのもあり。
介護保険で利用できるサービス。
食事や入浴の介助、機能訓練受けられる。
1か月で最長30日まで利用できる。
利用料金は、介護保険の自己負担分1割(別途、居住費、食費、日常生活費)
要介護度や施設により料金は異なるが、1日当たりの食費1000~1500円。1泊2日で数千円程度(個室料などのサービス除く)が目安。
あとがき
親の様子がおかしいなと思ったらまず、地域包括支援センターか市区町村の役場に相談、要介護認定の申請を出し、結果が出たらケアマネージャーとともにプランを立て、介護サービスを受けます。
・。・。・。・。。・
介護の基本は「機嫌よく過ごしてもらうこと」と著者はいいます。
認知症患者は、機嫌が悪いと問題行動を起こしやすく、機嫌がいい時は問題行動を起こしにくいという傾向があるとのこと。
本人も、自分が正常でないと感じていて自信を失っている、それがイライラの原因になり攻撃性にもつながる、そんな中、肯定されることは機嫌よく過ごすための大きな要因であると。
介護にはどんな制度やサービス、施設があるのかなど、知っておくことによりいざというとき行動しやすくなります。働きながら親をみることはきっと可能、悩む前に知ることが大事かと。
参考:
☆ 介護保険の介護度とは|健康長寿ネット
☆ 介護保険サービスを利用するまでの流れ (ニチイ)